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Case Report

HHV-8関連多中心性キャッスルマン病(multicentric Castleman's disease; MCD)

照屋勝治

HIV感染症とAIDSの治療 Vol.9 No.1, 43-48, 2018

HIV患者でみられるヒトヘルペスウイルス8(human herpesvirus-8;HHV-8)関連疾患としてはカポジ肉腫(Kaposi’s sarcoma;KS)の頻度が最も高い。一方で,比較的稀ではあるが,診断の遅れが致死的となり得るきわめて重要なHHV-8関連疾患として,多中心性キャッスルマン病(multicentric Castleman’s disease;MCD)がある。多剤併用抗HIV治療(ART)の時代になってKSの頻度が劇的に減少してきている一方で,同じHHV-8関連疾患であるMCDは増加傾向にあるという指摘がある。MCDの発生頻度はpreART時代(1983~1986年)が2.3/1,000人・年であったのが,early-ART時代(1997~2001年)には2.8/1,000人・年,later-ART時代(2002~2007年)には8.3/1,000人・年と明らかな増加傾向となっていた1)。MCDは初期には自然寛解,再燃を繰り返すため,積極的に本症の可能性を疑わなければ,診断されずに見逃されてしまい,何度目かの再燃時に一気に病態が悪化すると,わずか数日の経過で多臓器不全に至り死亡し得るきわめて予後不良の疾患である。再燃時に多臓器不全の徴候がみられた場合には,救命のために確定診断を待たずに迅速にエンピリック治療の開始を判断しなければならない。比較的緩徐な臨床経過を辿ることが多い多くのHIV関連疾患とは一線を画する異色の疾患であり,HIV患者の不明熱の鑑別疾患として常に念頭におくべき疾患である。
以下,われわれが経験したきわめて急性の経過を辿ったMCDの1例を提示する。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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