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頭痛の不思議

2人の上皇と陰陽師―澁澤龍彥の吉野熊野紀行

石川光紀

Headache Clinical & Science Vol.5 No.2, 48, 2014

※本コラムは,本誌第6号(Vol.4 No.1:2013年5月号)に掲載された「三十三間堂と後白河上皇の頭痛」の続編である.

歴代上皇の熊野詣では膨大な回数にのぼる.前回紹介した後白河上皇は,生涯に実に最多の34回詣でているが,その168年前に史上2回目(992年)の熊野行幸を果たした上皇が12代前の花山天皇である.古事談に則り,花山天皇が頭痛に悩まされるというエピソードを創作したのは仏文学者・澁澤龍彥であった.澁澤が雑誌「文藝」に1979年から1年間にわたり書き連ねた12編の伝奇風小説集「唐草物語」の中の1篇,「三つの髑髏」は,途方もなく破天荒な奇行でその名を知られた花山天皇が,実は持病である「頭風」に酷く悩まされており,あの陰陽師・安倍晴明から三度にわたり,自分の前生,またその前生,そしてそのまた前生を告げられて髑髏のありかを聞き出し,供養をするたびに頭風がピタリと止んだ,という逸話である.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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