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Topics of HCC

肝切除におけるMRエラストグラフィーの有用性

阿部勇人緑川泰高山忠利

The Liver Cancer Journal Vol.11 No.2, 36-39, 2019

近年,画像診断の進歩により肝線維化の程度を非侵襲的に評価することが可能となった。血中の線維化マーカーの測定(4型コラーゲン・7SやプロコラーゲンⅢペプタイド,M2BPGi)や複数の検査値による組合せモデル(APRIやFIB-4)の有用性の報告も散見されるが1),肝臓に特異的とは言い難く,肝線維化の程度まで正確に表現することが難しい。一方で,画像検査によるエラストグラフィー,特にMRエラストグラフィーは肝線維化の定量的な評価に有用なため,侵襲的な肝生検に代わる線維化診断として注目を浴びている2)
肝硬変が進行すると食道静脈瘤など門脈圧亢進症状を合併し,また,肝切除においては術中出血や術後合併症に影響を及ぼすため3),より詳細に術前から肝線維化の程度を把握しておくことは重要である。
われわれはMRエラストグラフィーによる術前リスク評価の有用性を検証し報告してきた4)-7)。本稿では,実臨床におけるMRエラストグラフィーの有用性について,肝切除における術後合併症のリスク評価を中心に概説する。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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