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Special Articles

分子標的治療薬の併用療法

②TACEと分子標的治療薬の併用療法

上嶋一臣工藤正俊

The Liver Cancer Journal Vol.11 No.2, 28-34, 2019

Intermediate stageの標準治療であるTACEは局所制御効果に優れているが,再発をきたしやすいことが問題である。再発のたびにTACEが繰り返されると,結果として肝予備能低下をきたし予後短縮につながる。分子標的治療薬は,腫瘍の増大,新規病変の出現を抑えることが期待されており,併用によりTACE回数を減らして肝予備能を温存することができれば予後延長につながる可能性がある。ソラフェニブ登場以降,さまざまなTACEと分子標的治療薬の併用療法の臨床試験が行われたが,試験デザインの問題などからいずれも十分な効果は示されなかった。過去の失敗の要因を解析してデザインされたTACTICS試験では,TACEにソラフェニブを併用することで有意なPFSの延長が示され,併用療法の有効性を示唆する結果であった。一方,レンバチニブは単剤でTACEを凌駕する奏効率を示し,Intermediate stageの新たな治療法として位置づけられつつある。Intermediate stageではTACEと分子標的治療薬はいずれも相補的な役割を担っており,病態に応じて適用してゆくことが必要である。
「KEY WORDS」TACE,分子標的治療薬,併用療法,逐次療法

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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