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Meeting Report

第54回米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)

工藤正俊

The Liver Cancer Journal Vol.10 No.2, 54-61, 2018

米国臨床腫瘍学会(ASCO)は世界最大規模の癌治療に関する学術集会であり,最新の癌治療の成果が発表される。ASCOの発表に関する規則は厳しく,発表当日までその発表の詳細は公表されず,発表予定者に対してもASCO当日までその抄録内容の秘密厳守が求められる。もしそれに背いた場合は,発表の機会を剥奪されるほど厳しく制限されている。それだからこそ毎年多くの癌研究者が最新の情報を生で聞きたいためにシカゴに集まるのである。
2018年も6月1日から5日までの5日間シカゴで開催された。2018年の参加者は約4万人であり,うち米国から17,168人(53%),日本からは1,500人程度(約5%)が参加した。筆者も2010年くらいから,ほぼ毎年9回目の参加である。今回のレポートは肝細胞癌と免疫療法の話題に絞って,2018年のASCOのハイライトについて概説する。
ソラフェニブが肝細胞癌に対して全身化学療法として有効性を示し約10年が経過した。その間に,進行肝癌に対する1st line,2nd lineの新規薬剤,中等度進行肝細胞癌に対するTACE併用の薬剤,肝癌根治後のアジュバント療法など多くの臨床試験が実施されたが,いずれもネガティブに終わり,この薬剤に続く治療が登場することはなかった。そのようななかで2016年にレゴラフェニブ(2nd line),2017年にレンバチニブ(1st line)が成功し,本邦では臨床で使用が開始されている。近年では,2018年1月のASCO-GIでカボザンチニブ(2nd line)のプラセボに対する優越性が報告され,TACTICS試験が初めてTACEと分子標的薬の併用の有用性を示した。さらに今回のASCO(2018年6月)では,ラムシルマブ(2nd line)がAFP≧400ng/mL以上を対象としてプラセボに対する優越性が発表された。また免疫微小環境を標的とした開発は,レンバチニブやベバシズマブなどと免疫チェックポイント阻害薬との併用療法が早期開発からグローバルPhase Ⅲ試験に移行しつつあり,肝細胞癌における新規治療開発が再び活性化している。本稿ではASCO 2018に発表された肝細胞癌の新規治療開発について概説する。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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