Topics of HCC
急激に変貌する肝癌の薬物療法
③肝細胞癌における免疫チェックポイント阻害薬とその他の治療法との組み合わせ治療
The Liver Cancer Journal Vol.10 No.1, 49-55, 2018
肝細胞癌においても,他癌腫と同様,免疫チェックポイント阻害薬と他の治療法との組み合わせ治療の試みが活発化している。代表的なものが,免疫チェックポイント阻害薬同士の組み合わせ(PD-1抗体とCTLA-4抗体の組み合わせ治療),PD-1/PD-L1抗体と分子標的薬との組み合わせ治療,PD-1/PD-L1抗体やCTLA-4抗体と既存の局所治療の組み合わせ治療などがそれである。
近年,免疫療法はさまざまなタイプの癌において急速な進歩を遂げており,米国食品医薬品局(FDA)は抗PD-1抗体ニボルマブを2014年9月にブレークスルーセラピー(画期的治療薬)と指定した。その後,抗PD-1抗体ペムブロリズマブについても同様の指定を行った。現在ニボルマブは,悪性黒色腫,非小細胞肺癌および腎臓癌を含む特定の悪性腫瘍に対してきわめて効果がよい薬剤として承認されており,他の多くの癌腫においても有望な臨床試験が進行中である1)-6)。肝細胞癌は他の固形腫瘍または血液悪性腫瘍と比較して非常にヘテロな性質をもった癌腫である。主要なドライバー変異を有さず,肝予備能を低下させる薬物での治療も困難であるため,他の癌腫とは異なる治療戦略が求められている。そのなかでCheckMate 040試験は,抗PD-1抗体ニボルマブが肝細胞癌に対する有望な治療法であることを明らかにした7)。さらに,多くの製薬メーカーは,肝細胞癌の治療のための抗PD-1抗体の第Ⅲ相試験および他の早期臨床試験を開始している。また,FDAは2017年9月にニボルマブを,ソラフェニブ治療歴を有する肝細胞癌のセカンドラインの治療薬として承認した。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。