Topics of HCC
急激に変貌する肝癌の薬物療法
①新規分子標的薬
The Liver Cancer Journal Vol.10 No.1, 36-43, 2018
肝外転移または脈管侵襲を有する肝細胞癌や,TACEにて治療効果が期待できない肝内多発肝細胞癌に対しては薬物療法が行われる。本邦では,2009年5月に分子標的薬であるソラフェニブが使用可能となり,その後なかなか新規治療薬の開発が進まなかったが,2017年6月にソラフェニブ後の二次治療としてレゴラフェニブが用いることができるようになった。さらに,2018年3月からはレンバチニブも用いることができるようになり,進行肝細胞癌に対する薬物療法として分子標的薬の治療選択肢が増えた。
また,2017年10月に改訂された「肝癌診療ガイドライン2017年版」では,肝細胞癌の分子標的薬に関して,clinical question(CQ)43で,「外科切除や肝移植,局所療法,TACEが適応とならない切除不能進行肝細胞癌で,PSが良好かつ肝予備能が良好なChild-Pugh分類A症例に,一次治療としてソラフェニブまたはレンバチニブによる治療を推奨する。二次治療として,ソラフェニブ治療後画像進行を認め,ソラフェニブに忍容性を示したChild-Pugh分類Aの症例にレゴラフェニブによる治療を推奨する」(強い推奨)として,ソラフェニブ,レンバチニブ,レゴラフェニブについて述べている1)。この項では,ソラフェニブ以降の肝細胞癌に対する新規分子標的薬について概説する。
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