<< 一覧に戻る

Special Articles

臨床家の立場から視た肝癌のゲノム解析と病態生理

②ゲノム解析による肝発癌・進展メカニズムの解明

緑川泰山本尚吾高山忠利油谷浩幸

The Liver Cancer Journal Vol.9 No.2, 28-33, 2017

肝細胞癌の多くは慢性肝疾患を発生母地とし,遺伝子異常の蓄積により発癌,進展する多段階発癌である。今回,慢性肝疾患・早期肝癌・古典的肝癌について次世代シーケンサーにより,肝発癌および肝癌進展に関与する遺伝子異常について解析を行った。遺伝子変異数および染色体異常は古典的肝癌と比較して早期肝癌で有意に少なく,これらを反映して早期肝癌の遺伝子発現プロファイルは古典的肝癌と異なっていた。また,TP53CTNNB1MLL4ARID2の遺伝子変異が高頻度に認められ,p53およびWNT経路やMLL遺伝子群が肝発癌の段階で遺伝子変異が生じていたのに対し,肝癌進展に伴ってクロマチンリモデリング,AKT/PI3Kキナーゼの異常が認められた。さらにTERTはプロモータ領域の遺伝子変異,染色体異常,融合遺伝子,B型肝炎ウイルスの組み込みなどの複数の遺伝子異常により,肝癌初期から発現が上昇していた。
「KEY WORDS」次世代シーケンサー,多段階発癌,遺伝子変異,融合遺伝子,TERT

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る