「Summary」米国におけるNational Cancer Institute(NCI)とCooperative Groupを中心とした治療開発体制が大きな転換期を迎えている. 2010年に出されたInstitute of Medicine(IOM)reportに基づき, Cooperative Groupの再編, グループ共通のElectronic Data Capture(EDC)システムの導入, バイオバンキングと試料解析研究の推進, Steering Committeeによるトップダウンの治療開発の方向付け, 共同試験の推進といった大規模な改革が進行中である. 日本では米国のような多施設共同臨床試験グループを恒常的に支える仕組みがなく, NCI-Cancer Therapy Evaluation Program(CTEP)のような治療開発の調整・監視を行うfunding agencyもこれまで存在していなかったが, 平成24年度より厚生労働省の「がん臨床試験基盤整備事業」が始まり, 公的に臨床試験グループのインフラ整備に対する支援が開始される見通しである. この枠組みを利用して, 国全体としての治療開発の方向性を調整する機能の構築も期待される.
「Key words」Cooperative Group,NCI,CTEP,JCOG,IOM report,funding agency,厚生労働省,がん臨床試験基盤整備事業