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機能的ゲノム解析から分子診断・分子標的治療へ

シグナル伝達異常とバイオマーカー探索

櫻井俊治工藤正俊

The Liver Cancer Journal Vol.4 No.1, 35-39, 2012

「Summary」慢性炎症が発癌を引き起こすことはよく知られているが, その分子機序はわかっていない. 発癌において遺伝子変異の重要性は周知されているが, 近年, 腫瘍としての特徴を獲得するために, 非遺伝子的な要素が重要であることがわかってきた. 慢性炎症が引き起こす変化, たとえば活性酸素類(ROS)の蓄積, さまざまなサイトカインの発現亢進などにより, 癌の起源となる細胞にシグナル伝達異常が付与されて癌が形成される. このような発癌に至るシグナル伝達異常を同定することにより, 癌をより早期に認識し予後を予測するバイオマーカーの探索および分子標的治療などの新規治療法の開発につながると考える.
「はじめに」肝細胞癌は世界で3番目に死亡率が高く, 予後不良な癌の1つである. その発生頻度は欧米ではここ10年, 増加傾向にある. 日本と違って欧米では大抵の患者は進行したステージで診断されるため, 局所療法の適応でない症例が多く, 日本のみならず世界規模で新しい治療法の開発が期待されている.
「Key words」炎症,発癌,JNK,p38,MAPK,ストレス応答蛋白,プロテアソーム

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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