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機能的ゲノム解析から分子診断・分子標的治療へ

増幅遺伝子スクリーニングと治療標的同定

井本逸勢

The Liver Cancer Journal Vol.4 No.1, 27-34, 2012

「Summary」癌は, ゲノム不安定性を背景に生じた種々のゲノム異常の蓄積によりさまざまな悪性形質を獲得し, 発生・進展していく. ヒトあるいはモデル動物の癌におけるゲノムコピー数異常を指標に癌の治療標的となりうる遺伝子を同定する戦略は, スクリーニングする遺伝子の数を位置情報により初めから絞り込めることから, 機能が未知な遺伝子であっても発現や機能を詳細に解析することで癌関連遺伝子としての意義を明らかにできる可能性がある. 治療標的となりうる増幅遺伝子の同定は, アレイを用いた全ゲノムスキャンによる高分解能なコピー数異常探索に加え, 癌細胞の候補遺伝子への機能的依存性(oncogene addiction)をライブラリー化したRNA干渉でのノックダウンや, cDNAの強制発現による機能ゲノム解析を組み合わせることで, ハイスループットに行える. 統合的かつ機能的なゲノム解析による癌のゲノム増幅標的遺伝子の探索は, 肝癌を含めた難治性癌に対する新規分子標的薬の標的となるドライバー変異遺伝子を効率的に同定するうえで有効なアプローチである.
「Key words」癌,遺伝子増幅,癌遺伝子中毒,ゲノムコピー数解析,分子標的治療

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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