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日本肝がん分子標的治療研究会

第4回優秀演題論文集 Session12 進行肝細胞癌に対するソラフェニブと低用量シスプラチン/フルオロウラシル肝動注療法の併用化学療法の第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験

上嶋一臣有住忠晃早石宗右田北雅弘北井聡矢田典久井上達夫萩原智南康範櫻井俊治工藤正俊

The Liver Cancer Journal Vol.3 No.4, 88-89, 2011

背 景
 原発性肝細胞癌(HCC)に対する肝動注化学療法,特に低用量シスプラチン/フルオロウラシルの肝動注化学療法(いわゆるlow-dose FP療法)は,脈管浸潤を伴うHCCや多発,びまん型のHCCに対して主に施行されている治療法である。その奏効率は平均して約40%である。局所制御としては非常に有効であり,CRあるいはPRを得られた症例では明らかに長期生存が得られることはよく経験することである。しかし,本療法としての生命予後の改善効果については客観的なエビデンスはない。また肝動注化学療法は技術的にやや特殊であり,一部施設でしか行われないなどの問題点があり,エビデンスを作り上げようという動きはあったものの,全国規模で行われた臨床試験はなく,明確なエビデンスは確立されてはこなかった。一方で経口分子標的治療薬ソラフェニブが2009年5月に承認された。治療対象となるステージは肝動注化学療法のそれとほぼ重なる。ソラフェニブは,生存期間の延長が明確に証明されているが,腫瘍縮小を得ることはできない。これは,腫瘍縮小が期待できる半面,生命予後改善効果が明確ではない肝動注化学療法と対照的である。この2つの治療方法を併用した場合に,ソラフェニブの生存期間延長と,low-dose FPの腫瘍縮小効果により,相加的に有効性が期待できるものと考えられる。そこで,ソラフェニブとlow-dose FPの肝動注化学療法の併用療法の有効性を検証する多施設共同ランダム化比較試験(sorafenib in combination with low-dose cisplatin and fluorouracil intra-arterial infusion chemotherapy;SILIUS trial)を計画した。SILIUS trialは,ソラフェニブと低用量シスプラチン/フルオロウラシル肝動注化学療法の併用化学療法の安全性を評価し,推奨投与量を決定する第Ⅰ相部分,続いて推奨投与量での有効性を確認する第Ⅱ相部分,そして併用療法の有効性を検証する第Ⅲ相部分から構成される。今回,第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験において良好な成績が得られた。

対 象

 外科的切除,局所壊死療法および肝動脈化学塞栓療法が適応とならない進行肝細胞癌患者を対象とした。

方 法

 ソラフェニブ800mg/日の連続投与をベースに,low-dose FPとして,シスプラチンを14mg/m2~20mg/m2,フルオロウラシルを170mg/m2~330mg/m2へと段階的に増量し,用量制限毒性(dose limiting toxicity;DLT)の発現をみた。

結 果

 第Ⅰ相部分において18例が登録された。
Level 1:ソラフェニブ800mg/日連日,シスプラチン14mg/m2/日(day1,8),フルオロウラシル170mg/m2/日(day1~5,9~12)では,6例中2例にgrade3の多形紅斑(うち1例はgrade4の血小板減少を伴う)がみられた。
Level 2:ソラフェニブ800mg/日連日,シスプラチン14mg/m2/日(day1,8),フルオロウラシル330mg/m2/日(day1~5,9~12)では6例中1例にgrade3の多形紅斑がみられた。
Level 3:ソラフェニブ800mg/日連日,シスプラチン20mg/m2/日(day1,8),フルオロウラシル330mg/m2/日(day1~5,9~12)では6例中6例すべてにDLTの発現はみられなかった。
 結果,Level 3が推奨用量として決定された。有害事象についてはソラフェニブおよびlow-dose FPでみられる既知の有害事象が複合してみられ,併用による相乗的な,あるいは未知の有害事象はみられなかった。TTPは9.7ヵ月であり,抗腫瘍効果は,PR 7例,SD 7例,PD 2例,NE 2例であり,奏効率は38.9%,病勢コントロール率(DCR)は77.8%と良好であった。

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