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座談会(Round Table Discussion)

肝細胞癌治療における背景肝病変の意義

西口修平川口巧久保正二田中弘教能祖一裕

The Liver Cancer Journal Vol.3 No.4, 13-24, 2011

 わが国の肝細胞癌(以下,肝癌)の多くは,C型およびB型肝炎ウイルスへの感染を起因とするが,近年これらのウイルス感染を原因とせず,アルコール性肝炎あるいは非アルコール性脂肪性肝炎に起因して発癌する非B非C型肝癌が増加傾向にある。また,背景肝病変は肝癌の予後規定因子の1つであり,肝癌に対する治療および再発サーベイランスのアルゴリズムを効果的に実践するにあたって重要な意味があると考えられる。そこで,本座談会では「肝癌治療における背景肝病変の意義」をテーマに,肝癌の予防・治療ならびに予後に対する背景肝病変の影響について,内科と外科それぞれご専門の立場から討論いただいた。

[出席者,発言順]
西口 修平(司会)
兵庫医科大学肝疾患センターセンター長

川口  巧
久留米大学医学部消化器疾患情報講座・内科学講座講師

久保 正二
大阪市立大学大学院医学研究科肝胆膵外科学准教授

田中 弘教
兵庫医科大学内科学肝胆膵科講師

能祖 一裕
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科分子肝臓病学准教授

はじめに

西口 わが国では,肝癌の大半を占めるC型肝炎ウイルス(HCV)由来の肝癌が最近減少する傾向にあります。この理由の1つとして,肝癌の超高リスク群であるC型慢性肝炎および肝硬変に対する治療法の進歩により,ウイルス学的著効(SVR)例が増加していることが挙げられます。一方,HBs抗原とHCV抗体がともに陰性の非B非C型肝癌が増加しており,アルコール性肝炎ならびに肥満,糖尿病,高脂血症などの生活習慣病を基盤とした非アルコール性脂肪性肝炎(non-alcoholic steatohepatitis;NASH)からの発癌が主な原因と推察されます。そこで,本日は4名のエキスパートの先生方より背景肝病変と肝癌の予防,治療および予後との関連性についてご意見をいただき,理解を深めたいと思います。

背景肝疾患における肝発癌予防のエビデンスと現状

1.抗ウイルス療法による肝発癌抑制効果
西口 まずは,背景肝疾患に対する肝発癌予防法についてお話を伺ってまいります。わが国では,C型肝癌の発症予防にインターフェロン(IFN)療法が推奨されていますが,川口先生,その根拠についてご紹介いただけますか。
川口 西口先生がC型慢性肝炎および肝硬変に対するIFN療法のランダム化比較試験(RCT)の成績を1995年に「Lancet」に発表されたのを皮切りに,わが国からIFNの肝発癌抑制効果に関する報告が相次いで発表されています1)-4)。最近では,IFN療法の治療効果別に肝発癌率を検討した結果が「Hepatology Research」に掲載され,SVR群と生物学的著効(BR)群において,肝発癌抑制効果が認められました(図1)5)。

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