<< 一覧に戻る

HCC Best Practice

金沢大学放射線科における肝細胞癌治療の取り組み 誰もができる精密な早期肝細胞癌診断と塞栓療法を目指す

松井修

The Liver Cancer Journal Vol.3 No.1, 49-54, 2011

 金沢大学放射線科における肝細胞癌治療の取り組みについて,経血管診療学教授の松井修先生にお話を伺った。日本の肝細胞癌死は年間約35,000名にのぼる。画像による早期肝細胞癌診断法の確立と肝硬変を基盤とした多中心性発癌に対する非侵襲的なIVRの開発が急務とされていた。松井先生らは「誰もができる」を目指し,結節内血行支配を利用した早期肝細胞癌診断法,リピオドールとマイクロカテーテルを用いてピンポイントに肝細胞癌を治療する亜区域肝動脈塞栓療法(TACE)を研究し,それらはいずれも国内外の多くの診断・治療の場面で活用されている。

金沢大学放射線科の概要

 現在,金沢大学放射線科では,松井先生以下約25名のスタッフが日々診療,研究,教育に励んでいる。同科は,①コンピュータ断層装置(CT),超音波診断,磁気共鳴装置(MRI),レントゲン写真,マンモグラフィーを用いて全身のあらゆる疾患の画像診断を行う「画像診断部門」,②照射方法などの治療計画を立案し,ライナックを用いた外照射や密封小線源を用いた腔内照射,組織内照射を行う「放射線治療部門」および③血管造影やその診断技術を応用した塞栓術,血管拡張術,大動脈瘤に対するステントグラフト治療,腫瘍に対する動注化学療法などの血管内治療を行う「血管造影・インターベンショナルラジオロジー(IVR)部門」の3部門からなり,スタッフはおのおのの専門分野を主に担当している。
 スタッフの多くは,松井先生の「病理はすべての基本」という考えのもと,一定期間病理学教室に在籍し病理学を学んできた。そのため同科では,そこで行われる診断・治療を常に病理所見と対比して解析することにより,その精度や成績を向上させてきたことが1つの特長になっている。

金沢大学放射線科における肝細胞癌の診療体制

 現在,放射線科のなかで,主に肝炎や肝硬変,肝細胞癌などの肝疾患を専門としているスタッフは6名前後で,彼らを中心に肝疾患に対する画像診断,血管造影,肝動脈塞栓療法(TACE)が行われている。かつては(20年ほど前),肝細胞癌の診断・治療に関わっている同科と消化器内科,消化器外科それぞれがばらばらに患者の診療にあたっていたが,昨今は3科が役割分担を明確にしたうえで連携を図り診療にあたっているという。具体的には,同科は画像診断とTACEや動注化学療法などの血管内治療を担当し,消化器内科は診療一般・超音波診断やラジオ波焼灼療法(RFA)を,消化器外科は外科手術を担当する。毎月1回は3科合同の消化器カンファレンスを,週1回は同科と消化器内科で肝臓カンファレンスを開催し,各科で情報を共有するようにしている。また,同科に紹介されてきた肝細胞癌患者の全身管理は消化器内科が担当し,入院加療が必要な場合,患者は消化器内科病棟へ入院することにしている。

精密な画像診断・精密なTACEの確立を目指す

 放射線科が肝細胞癌の診断・治療に本格的に力を注ぐようになったのは,「前教授の高島勉先生が1970年代初めに米国から日本へ選択的肝動脈血管造影法を導入したことと,同時期に消化器内科にも病理学教室にも肝疾患を自らの専門としている医師がいたことが大きい」と松井先生は明かす。たとえば,消化器内科には高島先生とほぼ同時期に教授であった服部信先生がいる。その後消化器内科の教授は,肝疾患を専門にする小林健一先生,現在の金子周一先生へと引き継がれた。また,病理学教室の現教授である中沼安二先生も肝臓病理の第一人者だ。松井先生は,「われわれが肝細胞癌に対する早期診断や鑑別診断, TACEに関して精密さを追求して,これまでに多くの業績を残せたのは,消化器内科や病理学教室の協力があったからだ」と語る。

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る