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JAK2遺伝子異常による真性赤血球増加症の発症機序
掲載誌
Trends in Hematological Malignancies
Vol.1 No.2 4-5,
2009
著者名
小松則夫
記事体裁
連載
/
全文記事
疾患領域
血液
/
癌
診療科目
血液内科
媒体
Trends in Hematological Malignancies
真性赤血球増加症(PV), 本態性血小板血症(ET), 原発性骨髄線維症(PMF)は慢性骨髄性白血病(CML)とともに, 多能性造血幹細胞の異常により多系統の血球がクローン性に増殖する, 肝脾腫が高頻度にみられる, 病型の相互移行など, 共通の臨床像のもとに分類された疾患群で, 古典的骨髄増殖性腫瘍と呼ばれる. CMLを除いてその原因は長らく不明とされてきたが, 2005年にPV, ET, PMFの3疾患に共通してJAK2遺伝子変異が発見され, 発症原因解明への期待がにわかに高まった. ところが, JAK2変異に関する解析が進むにしたがい, 同変異はPVでは95%以上の症例に見出されるものの, ETとPMFでは約半数の症例にしか見出されず, JAK2変異はMPNに共通の病態すべてを説明しうるものではないことも明らかにされた. しかしながらJAK2変異はほぼすべてのPVに加え, 一部のETとPMFの病態を理解するうえできわめて重要な遺伝子異常であることは疑う余地がない.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。