State of the ART(CANCER BOARD 乳癌)
乳癌のリスクと予防
CANCER BOARD 乳癌 Vol.6 No.1, 24-32, 2013
「ポイント」・乳癌発症リスクの高い女性に対するタモキシフェン, ラロキシフェン投与は化学予防として有用である. ・遺伝性乳癌・卵巣癌症候群に対する予防的乳房切除, 予防的卵巣卵管切除は有用である. ・日本人に対してリスク軽減を実施するためにはリスク評価モデルの確立, リスク軽減法の評価とカウンセリング, 遺伝子検査体制の整備が必要である. 「はじめに」予防とは想定されるリスクに対して事前に備えておくことで, 疾病の場合, 発症を未然に防ぐ一次予防, 早期発見・早期治療を目指す二次予防, 発症後の社会復帰を目指す三次予防に分けられる. 一方, リスクファクターとはリスクに寄与する要因のことで, その検討は疾病の原因や予防を考えるうえで重要である. 本稿においては乳癌のリスクと一次予防(リスク軽減)について概説する. 「乳癌発症リスク」「1. 乳癌のリスクファクター」これまでにさまざまなリスクファクターが検討されており, 食生活などの生活様式の西洋化, 晩婚化, 少産, 肥満などの複数の要因が複雑に互いに関連して高エストロゲン環境を作り乳癌の発症を増加させていると考えられている(表1)1)-3).
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