胃癌根治術後の体重減少は骨格筋の喪失を伴いQOL を低下させる。しかし最近になって,実はそれだけではなく,体重減少は術後補助化学療法における抗がん剤のコンプライアンスに強く影響することが明らかになってきた。抗がん剤のコンプライアンスの低下は生存率にも影響すると考えられていることから,術後の体重減少を抑えることの重要性がにわかに注目されるようになってきた。そのような背景の中,前向きランダム化比較臨床試験によって,成分栄養剤による栄養サポートで胃癌根治術後の体重減少を有意に抑制できることが証明された。今後,術後管理に成分栄養剤による栄養サポートを付加することで,術後補助化学療法の抗がん剤のコンプライアンスが向上し,そのことが生存率の向上につながるかもしれないという期待が広がっている。
「KEY WORDS」胃癌術後体重減少,術後補助化学療法,抗がん剤のコンプライアンス,栄養サポート,成分栄養剤