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目でみるてんかん

よく間違われる脳波異常

大沼歩

Epilepsy Vol.9 No.1, 4-7, 2015

「はじめに」脳波はてんかん診療に欠かせないツールであるが,正確に判読するにはある程度の熟練が必要である.判読上誤りやすい,見過ごされやすい脳波所見を3例呈示する.
「1 Question 1」
29歳,男性.
22歳時にけいれんで発症.脳動静脈奇形が判明し1年後に開頭手術(右前頭部)を施行.その後,発作はないが定期的に脳波検査を受けている.呈示したのは6年後の脳波である.脳波所見は?(図1)
【解説】
睡眠第1段階.右前頭部から中心部にかけて低振幅のデルタ波(persistent polymorphic delta activity)が存在し,同部位には高振幅のベータ波が混在する.その一部は形態上,棘に類似する(図1).開頭後やバーホール術後は頭皮のインピーダンスが低化し,また皮質骨が欠損してコンダクタンスが変化し振幅の減衰率が低下するため,各周波数帯域波の振幅が高くなる.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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