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特集 バレット食道研究の最前線

巻頭言

浅香正博

THE GI FOREFRONT Vol.11 No.1, 11, 2015

私が卒業した1972年当時,食道がんの病理パターンはわが国も欧米も大半が扁平上皮がんであった。それが1980年代より欧米において腺がんの割合が急速に増加し,1990年には過半数を占めるようになり,現在に至るまでその差は開く一方である。しかるにわが国では状況はほとんど変化せずに扁平上皮がんが圧倒的に多い。なぜ欧米でこのような劇的な変化が生じたのか未だによくわからない。米国でも黒人ではわが国と同じように扁平上皮がんが多く腺がんの上昇はみられていないのである。食道の扁平上皮がんはその原因の大半が喫煙と過度のアルコール摂取であり,予防は禁煙,禁酒に尽きるのである。しかし,食道腺がんの原因はまだ完全に明らかにされておらず,そのため予防法も扁平上皮がんのように単純にはいかない。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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