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特集 わが国から胃癌を撲滅するための新しい試み―第17回JAPANGAST Study Groupハイライト―

State of the Art Lecture 大腸癌のマウスモデル

武藤誠

THE GI FOREFRONT Vol.8 No.2, 12-16, 2012

大腸癌は長年の間に複数の遺伝子異常が蓄積して発症し, 浸潤・転移性の癌へ進展する. マウスの遺伝子改変モデルを用いた諸研究によって, 我々は大腸癌の前癌病変である腺腫の拡大という初期段階でのCOX-2発現に始まり, 局所浸潤性の獲得, 血管内遊走, 管外游出, 転移増殖など, ほとんどすべての過程において腫瘍上皮と宿主の微小環境との相互作用が必須であることを見い出し, それらを標的とした治療戦略を提示した. 「1 複数遺伝子の関与による多段階発癌仮説(図1)」 大腸癌では少なくとも数個から10個未満の遺伝子に起きた変化が, 癌の病態を引き起こすと考えられている1). 散発性大腸癌では, これらの変化は長い年月をかけて蓄積されることが一般的で, 最初に良性腫瘍である腺腫(アデノーマ)が形成され, その一部が浸潤や転移を起こす悪性の癌に進展する. 最初の腺腫を形成する引き金になっているのはAPCと呼ばれる癌抑制遺伝子の機能欠損であることが, 1990年頃に家族性大腸腺腫症(FAP)家系の遺伝子解析で明らかにされた.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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