非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は約10億人が罹患する世界最多の慢性肝疾患であるが,10~20%程度に肝硬変や肝癌へ進展するリスクを有する非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が存在する。国内外のガイドラインでは,糖尿病合併例にはピオグリタゾンが,非糖尿病合併例ではビタミンEが推奨されている。しかしながら,NASHに対する薬物療法は確立されていない。NASHの病態にはインスリン抵抗性,脂肪毒性,酸化ストレス,免疫・サイトカインシステム,ミトコンドリア障害,アポトーシスなど多くのパスウェイが関与しており,種々のメカニズムの薬剤の開発が進行している1)2)。本稿ではそれらの現状について概説したい。
「KEY WORDS」PPAR活性化剤,GLP-1受容体作動薬,SGLT阻害薬,FGF活性化剤