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特集 脂肪肝へのアプローチ:メタボリックシンドロームとアンチエイジングの要

NASH形成におけるコレステロールの功罪

冨田謙吾齋藤英胤

アンチ・エイジング医学 Vol.17 No.2, 19-23, 2021

高コレステロール血症が心筋梗塞をはじめとした動脈硬化性疾患発症のリスク因子であることは広く知られている。そして,コレステロール低下薬であるスタチンは一次予防,あるいは二次予防において動脈硬化性心血管疾患の発症リスクを有意に減少させる。他方,米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)は,2013年に「コレステロール摂取量を減らして血中コレステロール値が低下するかどうか判定する証拠が数字として出せないことから,コレステロールの摂取制限を設けない」との見解を出した。
動脈硬化性疾患の場合は,血中コレステロールレベル(特にLDLコレステロールレベル)が病態増悪の危険因子であることが明らかにされている。一方で,血中コレステロールレベルが肝疾患の病態に及ぼす影響はいかがであろうか。
本特集の各項でも触れられているように,非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis;NASH)はメタボリックシンドロームの肝臓での表現型と考えられている。メタボリックシンドロームの構成因子には脂質異常症を含み,また,非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease;NAFLD)患者のなかでもNASH患者はメタボリックシンドロームの構成因子を数多く有することが知られている。さらに,NAFLD患者は酸化LDLなど動脈硬化惹起性のLDLの血清濃度が有意に高いとの報告もされている。つまり,血清コレステロール濃度高値とNASH発症との間には,直接的か間接的かは別として,何らかの有意な相関があることは疫学研究からも明らかとなっている。
本稿では,NASH形成におけるコレステロールの役割につき概説することとする。
「KEY WORDS」遊離コレステロール,肝星細胞,肝線維化,Toll様受容体4,コレステロール代謝

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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