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特集 機能性表示食品とアンチエイジング

マクロファージに作用する食品の有効性

藤原章雄

アンチ・エイジング医学 Vol.16 No.4, 44-49, 2020

マクロファージは体内の老廃物の処理や,病原菌に対する防御機能を担っている。その一方で,過剰なマクロファージの活性化は,多くの疾患の発症に関わることも知られている。近年,マクロファージの活性化機構には,古典的活性化経路とオルタナティブ活性化経路が存在することが知られている(図1)1)2)。すなわち,炎症惹起性に機能する古典活性化マクロファージ(M1マクロファージ)と,抗炎症性・組織修復性に機能するオルタナティブ活性化マクロファージ(M2マクロファージ)の2種類に大別されている(図1)1)2)。このようなマクロファージの活性化の違いは,さまざまな病態形成と深く関連するため,マクロファージの活性化制御が疾病の予防や治療に有効であると考えられている。腫瘍組織においては,M2マクロファージが腫瘍血管の形成促進やIL-10,PGE₂などの免疫抑制分子を産生することで抗腫瘍免疫の抑制に関与している3)。一方,M1マクロファージは,抗腫瘍免疫を活性化することで腫瘍の増殖を抑制することが知られている。つまり,M2マクロファージは抗腫瘍免疫を抑制することで腫瘍増殖に関与しており,一方,M1マクロファージは,抗腫瘍免疫を活性化することで,腫瘍の増殖を抑制することが知られている。ゆえに,腫瘍内浸潤マクロファージの活性化状態をM2からM1に変換することができれば,癌の予防や治療につながると考えられている。また,粥状動脈硬化巣形成や脂肪肥満の形成には,炎症性機序が関わることが周知の事実であり,炎症惹起性のM1マクロファージが優位を占めている。つまり,動脈硬化やメタボリックシンドローム病態においては,マクロファージの活性化状態をM1からM2に転換することができれば,M2マクロファージの抗炎症性作用を介した病態の改善が期待できる。
そこで,我々はマクロファージの活性化制御を癌や動脈硬化に対する予防・治療戦略として位置付け,マクロファージの活性化を制御する食品由来化合物のスクリーニングを行ったところ,候補化合物としてonionin A(ONA)およびEsculeoside Aを同定した。ONAは,タマネギに含まれる環状スルフィド化合物であり,Esculeoside Aはトマトに含まれるサポニン成分として知られる化合物である。
本稿では,ONAおよびEsculeoside Aの機能としてマクロファージの活性化制御を介した抗腫瘍作用および抗動脈硬化作用について紹介する4)-6)
「KEY WORDS」タマネギ,トマト,マクロファージ,癌,動脈硬化

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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