新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によって引き起こされる感染症(COVID-19)が現在パンデミックとなり,世界中に多大な経済的・人的損失を与えている。飛沫感染だけでなく接触感染もSARS-CoV-2の感染拡大の重大な要因と考えられている。そのため,感染拡大防止に手指衛生などの接触感染予防がきわめて重要であることは世界保健機関(WHO)からも提言が出ており,「Infection prevention and control during health care when novel coronavirus infection is suspected」でも感染制御の方法・考え方が紹介されている。有効な接触感染予防法を構築するにあたり,対象病原体の環境における安定性を理解することが重要である。本稿では,SARS-CoV-2を含むコロナウイルスの環境中での安定性について読者に馴染みのあるインフルエンザウイルスと対比して述べる。
「KEY WORDS」集団感染,手指衛生,粘弾性,レオロジー,粘液