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特別企画 特集 緊急“新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策”

COVID-19と唾液腺 ~重症感染を防ぐための新たな口腔ケア~

阪井丘芳

アンチ・エイジング医学 Vol.16 No.3, 74-77, 2020

Coronavirus disease 2019(COVID-19)は,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって引き起こされる感染症である。本疾患は,2019年12月に中国の湖北省の省都である武漢で最初に特定され,その後世界的に広まり,2019年から2020年にかけてパンデミックが進行している。
急性呼吸器疾患であるが,感染者が味覚や嗅覚を失ったとの報告が世界各地でみられる。普通感冒でも味覚や嗅覚が一時的に失われることはあるが,新型コロナウイルス感染における味覚や嗅覚の麻痺が,ふつうの感冒とは異なる性質をもつのかどうか,世界の50ヵ国にまたがる約600人の医師や科学者が国際コンソーシアムを結成し,日本を含む各国で調査を開始している1)
そこで,COVID-19と口腔領域との関連性を調査していると,COVID-19の無症候性感染患者の口腔のリスクについて重要な研究が報告されている2)。原因ウイルスであるSARS-CoV-2感染における口腔粘膜の役割が当初から注目されてきたが3),無症候性感染の状態における唾液腺への影響は示されていなかった。口腔領域における問題として,唾液腺とSARS-CoV-2との関連性,さらに,感染経路や感染パターンの理解として,最近の知見を紹介したい。
「KEY WORDS」COVID-19,SARS-CoV-2,唾液腺,無症候性感染,ACE2

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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