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特別企画 特集 緊急“新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策”

機能性食品因子と免疫力アップ

市川寛

アンチ・エイジング医学 Vol.16 No.3, 27-30, 2020

人類が経験したことのない新型コロナウイルスによるパンデミックは,全世界に大きな傷跡を残そうとしている。その終息にはまだまだ時間が必要とされ,第2波,第3波などの危機感を継続しながら「新しい日常」への第一歩が始まった。
しかしながら,過去に人類が経験したパンデミックのときとは異なり,現代は医学を含めた科学技術の進歩により,新型コロナウイルス感染症の様相が徐々に明らかになりつつある。今回の新型コロナウイルス感染症に限らず,感染の成立や発症の有無は,一般的にヒトにおける免疫能に大きく関与している点は周知の事実である。
現に,体内に病原体が侵入しても,すべてのヒトにおいて感染が成立するとは限らず,また,その原因は,世間一般では,免疫能という言葉で片付けられている感じがある。感染の広がりを評価する目的で,血中抗体の測定もいくつかのキットを使用してデータが収集されているが,既感染患者でも血中に抗体が認められない事例もあり,その測定意義も現時点では不確かな状態である。
ワクチンによる感染予防がもっとも効果的であることは多くの感染症にはおいて証明されているが,今回のような経験したことのない未知の感染症に対してはワクチン開発が後手になることが多く,その観点からは,新型コロナウイルスの排除・撃退そして共存を考えたときに,宿主側免疫系のコントロールがますます重要となる。
感染症に打ち勝つ免疫能を高めるには,生活習慣,特に食習慣の重要性は誰もが認めるところではあるが,マスコミやSNSを通じて得られる知識は一般的で漠然としたものであり,必ずしもすべてが科学的根拠に基づいたものとは限らない。
生体の免疫能には,自然免疫や獲得免疫などのさまざまなシステムが絡んでおり,また,病原体の種類によりそのシステムの作動は異なる。患者の免疫能を評価する目的で,臨床の現場では数多くの免疫学的検査法が施行されているが,実はデータからでは生体の免疫能を客観的に評価することが困難なことも多い。
「KEY WORDS」機能性食品因子,免疫調整作用,日本食品免疫学会

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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