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エイジングサイエンス

NAD⁺の補給は老化した腸管成体幹細胞を若返らせる

齋藤義正木村真規

アンチ・エイジング医学 Vol.15 No.5, 74-76, 2019

加齢は,がん,糖尿病,アルツハイマー病およびパーキンソン病,心血管疾患などの成人発症疾患の主要な危険因子の一つである。成体組織の恒常性は,成体幹細胞によって制御されているが,加齢に伴う成体幹細胞の機能低下が報告されている。この低下は,加齢や加齢に伴う疾患を制御するニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD⁺)依存性脱アセチル化酵素であるサーチュインの活性低下に起因すると考えられている。腸管上皮の急速なターンオーバーは,腸幹細胞(intestinal stem cells:ISC)によって維持されている。哺乳類では,通常の条件下では,陰窩の底部にあるLgr5発現細胞がISCの大部分を占めている。最近,加齢が哺乳類のISC機能の低下をもたらし,Wntシグナル経路が老化したISCの機能障害を改善したことが報告されている。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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