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特集 メタボローム解析とアンチエイジング

原発性アルドステロン症副腎における,アルドステロン産生細胞の探索─質量分析によるステロイドホルモン・イメージング─

杉浦悠毅西本紘嗣郎

アンチ・エイジング医学 Vol.15 No.5, 20-24, 2019

最近我々は,ラットやヒトの副腎組織において高血圧症の原因となるステロイドホルモンであるアルドステロンの局在を,「高感度イメージング質量分析法」により視覚化することに成功した1)
マウスやラットの副腎皮質は層状の構造をもち,それぞれの層がアルドステロン,コルチゾル,および性ホルモンを産生することが知られている。我々は以前から,ヒト成人の副腎皮質は層状というよりむしろ斑入り状であり,粒状のアルドステロン産生細胞部位(aldosterone producing cell cluster:APCC注1)が主なアルドステロンの産生部位であることを提示してきたが,実際に可視化には至っていなかった。今回,新しいイメージング手法である高感度イメージング質量分析法注2により,ヒト高血圧患者のAPCCと呼ばれる細胞群が,副腎においてアルドステロンを産生している様子を画像として捉えることに成功した。
さらに,粒上のAPCC細胞群が巨大なアルドステロン産生腺腫瘍(aldosterone producing adenoma:APA注3)に肥大化し,より多くのアルドステロンを産生する様子も画像として報告した。また,異常なAPCCやAPAのみが産生し,正常の副腎皮質細胞にはみられない異常なステロイドホルモンの分子種を,画像解析から同定することもできた。
本研究により,軽度の高血圧患者に潜むAPCCが,重度の原発性アルドステロン症の病巣であるAPAの発生母地であることを明らかにした。さらに,APCCやAPAが発生している患者を同定するバイオマーカーの開発が進むことも期待できる。
「KEY WORDS」アルドステロン産生腺腫瘍(APA),アルドステロン産生細胞部位(APCC),aldosterone synthase(CYP11B2),イメージング質量分析法

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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