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エイジングサイエンス

高血糖誘発ナトリウム依存性ATP 産生減少によるグルカゴン分泌の調節障害

岡村拓郎福井道明

アンチ・エイジング医学 Vol.15 No.2, 84-87, 2019

糖尿病は,インスリンとグルカゴンの分泌障害の併存が原因で起こる内分泌機能障害である。膵β細胞内のフマラーゼが欠損しているFh1βノックアウト(KO)マウスは,糖尿病患者にみられる進行性高血糖症およびグルカゴン分泌調節不全を発症する。
グルカゴン分泌障害は低濃度のトルブタミドによって修正され,ナトリウム・グルコース共輸送体(SGLT)阻害薬であるフロリジンによって防止される。これらのデータは,高血糖症,細胞内Na⁺蓄積および細胞内の酸性化とミトコンドリア代謝障害,ATP産生の低下,およびグルカゴン分泌の調節異常とを関連づける。
フマラーゼの活性の低下を反映するタンパク質のサクシニル化は,高血糖のFh1β KOマウスおよび膵β細胞内のKATPチャネルを特異的にKOしたβ-V59Mマウスおよび2型糖尿病患者の膵島細胞で観察された。高血糖Fh1β KOマウス由来の腎尿細管細胞および心筋細胞においてもサクシニル化が認められた。これらを合わせて鑑みると,SGLTが発現している細胞においてこの機構は拡大して反映し得ることから,一連の糖尿病合併症を説明しうる。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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