私は産婦人科医です。産婦人科医は「人の生き死に」に出くわすことの多い職業です。どの科の医師でもそうなんですが，特に生まれてくる瞬間と死ぬ瞬間に頻回に出会うので，産婦人科医の多くが不思議な霊的体験をしていると思います。私はあるとき，入院中の卵巣がんのおばあちゃんの部屋を訪れました。そのおばあちゃんは，お花がいっぱい咲いている神様の近くに行ってきたと言っていました。そして翌日，悲惨な末期がんなのに，幸せに包まれるように息を引き取りました。また，お産のときの出血でほとんど死にかけた患者は言いました。向こうの世界へ行こうとしたとき，随分前に亡くなった義父が出てきて追い返されたというのです。そして，その瞬間，私の懸命に呼びかける声が聞こえて意識を取り戻したというのです。そのとき，無意識の患者が急に目を開いたことを記憶しております。