特集 臨床医のアンチエイジング医療最前線
顎口腔系アンチエイジング医療~全身疾患の予防と見た目の若返りのために~
アンチ・エイジング医学 Vol.14 No.6, 50-61, 2018
近年,ライフスタイルの変化と医療の進歩によって,疾病構造が感染症主体から生活習慣病主体へとその比率が急変し,その結果,人々の医療に対する要求も変化してきた。
21世紀の医療は,従来の治療主体の医療から,生活習慣病に対応するために,発病環境のコントロールを行う「予防・管理中心の医療」へとシフトしてきている。また,医療費突出の対策としてだけではなく,「健康寿命の延伸」をターゲットに,医療の在り方そのものをパラダイムシフトしなければならない局面にきている。
2017年の日本人平均寿命は女性87.26歳,男性81.09歳で,ともに過去最高を更新した。また,100歳以上の高齢者が6万7,824人となり(前年比2,132人増),人生100年時代が垣間見えている。喜ぶ人がいる反面,「まだ人生は続くのか」と素直に喜べない人もいる。両者を分けるのは,何といっても健康である。しかし,健康寿命と平均寿命との差は女性12.35歳,男性8.84歳で,人生最後の10年は要介護になる可能性が高いことを示している。
健康寿命を延伸してその差をいかに小さくできるかは,医学会共通の目標である。当然,歯科医療も健康長寿の実現を目的とする顎口腔科医療へと転換しなければならない。
「KEY WORDS」顎口腔系,アンチエイジング医療,オーラルフレイル,オーラル・ヘルス・ドック,最小限介入医療,咬合再建,咬合高径
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。