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特集 臨床医のアンチエイジング医療最前線

認知機能低下に対するアンチエイジング医療─サプリメントの威力─

池岡清光

アンチ・エイジング医学 Vol.14 No.6, 35-42, 2018

2018年6月,フランス厚生省は,抗認知症薬のドネペジル,ガランタミン,リバスチグミン,メマンチンを保険適応外とすると発表した。使用禁止ではなく,全額が自己負担となる。効果と副作用などを検討し,公的保険でカバーするのは不十分と判断された。日本において,4種合計した薬剤費は年間1,500億円以上にのぼる。
アルツハイマー病に対するここ10年間の新薬の治験は99.6%が失敗に終わっている。原因として有力なのは,投与するタイミングが遅すぎるというものだ。原因とされているアミロイドβの蓄積は症状発現の20年以上前から始まっており,アミロイドβの産生抑制またはウォッシュアウト増加にせよ,すでに蓄積して神経細胞の崩壊が起こってからの投与では遅すぎる。
では,打つ手がないのだろうか?近年,認知症治療に有望な報告が散見される。代表的なものは2015年に発表されたFINGER研究1)である。食事,運動,認知トレーニング,生活習慣病予防への介入を総合的に行うことが,高齢者の認知機能低下を防ぎ得ることを示した。また,一般向けの書籍『アルツハイマー病 真実と終焉』(ソシム)にまとめられ,マスコミに取り上げられることも多いRECODE法も,サプリメントを含む栄養,運動,睡眠,ストレスマネージメントなどの多角的改善が認知症を軽快し得るとしている。いずれも抗認知症薬は使用していない。
「KEY WORDS」認知症,緑茶,クルクミン,ビタミンD,フェルラ酸

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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