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加齢個体における腎三次リンパ組織形成メカニズムの解明

アンチ・エイジング医学 Vol.13 No.3, 50-55, 2017

近年,先進国を中心に末期腎不全患者は増加の一途を辿っているが,その多くが高齢者である。高齢者が末期腎不全に至る主たる原因は急性腎障害(acute kidney injury:AKI)であることが疫学研究より示されている1)。AKIは脱水や敗血症などを原因として発症する,日常的に遭遇する頻度の高い病態であるにもかかわらず,その病態生理には不明な点が多い。また,若年者のAKIは回復傾向を認める症例が多いのに対し,高齢者のAKIは回復傾向を認めず重度の慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)や末期腎不全へと進展する症例が多いことも明らかにされつつあるが,なぜ加齢に伴いAKIからの回復が悪くなるのかについても不明であった。我々は最近,複数のAKIモデルを用いた検討で,若齢個体では組織修復が起こる時期に高齢個体では三次リンパ組織(tertiary lymphoid tissue:TLT)が誘導され,そこでリンパ球の活性化が起こり炎症を遷延・増悪させることを見出した2)。さらに,このTLTの形成・維持には多彩な性質を獲得した同一系譜の線維芽細胞がparacrine interactionなどを介して重要な役割を担うこと,TLTを標的とした治療法が腎予後を改善する可能性を見出している。本稿では高齢者腎臓病の病態生理について,最近我々が見出したTLTの知見を中心に概説する。
「KEY WORDS」急性腎障害,三次リンパ組織,線維芽細胞,homeostatic chemokine,加齢

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抄録