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誌上ディベート

遺伝子検査の是非

坪田一男

アンチ・エイジング医学 Vol.10 No.2, 61, 2014

今回のテーマはいま話題の遺伝子検査だ。従来は,遺伝子検査をしても,結局は食べすぎないようにしましょう,脂肪の摂りすぎに注意しましょう,運動は積極的にやりましょう。という結論となり,やってもやらなくても同じじゃないかという考えが大半を占めていた。また,東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターの武藤香織先生が否の立場から書かれているように,遺伝子検査そのものは価値があるとしても今の体制では十分に情報を生かせないばかりでなく,むしろマイナス面が強調されてしまうという危惧が多かったのも事実である。一方,最近の遺伝子検査のコストダウン,詳細な解析により遺伝子検査の価値が高まりつつあるのも事実だ。これについては,肯定の立場から東京都健康長寿医療センターの田中雅嗣先生に詳しく執筆いただいた。僕自身も遺伝子検査を行い,糖尿病のリスクがあることがわかった。これも従来の健康診断でやや血糖が高い傾向があり耐糖能は悪いことがわかっていたので,新しいことがわかったわけではない。でも“納得”という感はある。本文にもあるように,これからは自分の遺伝子を知る権利もあれば,知りたくない権利もあるという立場に立って十分討議されていくべき分野と思う。僕自身は興味があるのでやりたいほうだが,心配性の方もいらっしゃる。患者さんへの応用については十分の注意を払って施行すべきと強く思う。

全エクソン領域における機能的多型の網羅的解析へのお誘い―市民参加による遺伝的体質研究―/田中雅嗣
遺伝学的検査の普及には,適切な実施体制と個人遺伝情報の保護が必要/武藤香織

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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