Digital Transformation（Dx）とは，進化したIT技術を浸透させることで，人々の生活をより良いものへと変革させる概念である．皮膚科診療では写真記録を扱うことが多く，人工知能（artificial intelligence：AI）技術のなかでもとくに深層学習を用いた画像解析との相性が良いことから，さまざまな研究が活発に行われている．昨今，AI技術の開発が種々の分野において進んでおり，医学分野においてもAI技術を利用したさまざまな機器が開発されている．現在のAI技術の主流である深層学習は2000年代にさまざまなブレークスルーが提案され，2012年の画像認識精度を競う大会において圧倒的な精度向上が示されたことで開発が活発化した技術である．2012年以降は，インターネットを通じて獲得されたビッグデータの利用やコンピュータの性能向上とが相まって技術躍進を遂げることで，画像解析をはじめとした多くの分野において根幹をなす技術となっている．AI技術の医療応用に関しては，ヘルスケア，医師のサポート，医療認証機器などさまざまな場面での活用が想定される．深層学習を用いたアプリケーションの作成過程について，東北大学での開発状況を踏まえて報告する．