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特集 抗菌ペプチドとマイクロバイオーム

3 酒さと抗菌ペプチド

山﨑研志

皮膚アレルギーフロンティア Vol.18 No.3, 17-20, 2020

欧州系酒さ罹患者のゲノムワイド関連解析では,複数の遺伝子に関連する一塩基多型が確認され,酒さ病態に遺伝的背景が示唆される.一方で,酒さの臨床症状とその増悪因子からは自然免疫機構の関与が想起される.基礎研究を含めた酒さ病態研究では,①Toll様受容体TLR2と抗菌ペプチド・カセリサイディン(CAMP),そしてCAMP活性化酵素カリクレイン5を介した自然免疫機構の異常,②CAMPによる肥満細胞活性化,③肥満細胞を介した表皮自然免疫反応と神経因性反応の橋渡しが想定されている.よって,酒さは遺伝的背景の影響を受けつつ環境因子によって発症・誘発される多因子性慢性炎症性皮膚疾患といえる.これらの自然免疫炎症反応系を惹起する外界刺激は単一ではなく,紫外線,寒暖差,毛包虫,神経刺激因子,花粉アレルギーなど,患者個別の増悪因子に合わせた対応が必要である.
「KEY WORDS」酒さ,抗菌ペプチド,カセリサイディン,セリンプロテアーゼ,肥満細胞

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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