近年,アレルギーマーチの発症起点として,アトピー性皮膚炎に代表されるバリア障害のある皮膚を介した環境中のアレルゲンによる経皮感作が重要であるとの報告が相次いでいる.経皮感作の成立には,経皮的な抗原の侵入だけではなく,抗原提示細胞による外来抗原のナイーブT細胞への提示,その後のT細胞分化・増殖という一連の免疫応答が重要である.皮膚にはランゲルハンス細胞と真皮樹状細胞の2種類の抗原提示細胞が存在するが,このうち表皮に常駐しているランゲルハンス細胞は,皮膚タイトジャンクションバリア外に存在する分子量の大きな蛋白抗原を捕捉し,TSLP受容体を介してTh2型皮膚免疫応答を誘導することが明らかになった.経皮感作の詳細なメカニズムの解明は,アレルギーマーチの発症の予防・治療に非常に重要である.
「KEY WORDS」胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP),経皮感作,ランゲルハンス細胞,蛋白抗原,アトピー性皮膚炎
「KEY WORDS」胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP),経皮感作,ランゲルハンス細胞,蛋白抗原,アトピー性皮膚炎