特集 膠原病はどこまでわかったか?
膠原病はどこまでわかったか? (3)全身性強皮症の発症メカニズム
皮膚アレルギーフロンティア Vol.15 No.1, 17-21, 2017
全身性強皮症は皮膚および内臓諸臓器の血管障害と線維化を特徴とする膠原病で,その発症には免疫異常の関与が示唆されている.その病因はいまだ不明だが,免疫異常を基盤として生じる血管内皮細胞の傷害がトリガーとなり,炎症,血管障害,線維化が生じると考えられている.さまざまな細胞において本症に特異的な形質変化が生じており,免疫寛容の破綻,過剰な炎症反応,血管新生の異常活性化と脈管形成の障害,線維芽細胞の恒常的活性化が誘導されるが,その背景には遺伝因子とともに環境因子によるエピジェネティックな作用が関与していることが明らかになりつつある.生物学的製剤による治療経験や新規動物モデルを用いた解析により,今後,その病態理解が飛躍的に進むことが期待される.
「key words」免疫異常,血管新生,脈管形成,慢性炎症,線維芽細胞
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。