【特集 円形脱毛症フロンティア】
特集にあたって
掲載誌
皮膚アレルギーフロンティア
Vol.10 No.1 5,
2012
著者名
勝岡憲生
記事体裁
抄録
疾患領域
皮膚疾患
/
再生医療
診療科目
皮膚科
媒体
皮膚アレルギーフロンティア
脱毛症は, 「生理的周期に障害が生じ, 毛が欠如しているか, あるいは疎になっている状態」と定義されるが, 脱毛の病因はさまざまである. なかでも円形脱毛症は代表的な後天性脱毛症で, 米国の統計では全人口の0.1~0.2%に出現すると言われている. この統計に基づくと, わが国における患者数は多くて25万人余ということになるが, 実際にはそれ以上の罹患者がいると思われる. 本症は基本的に脱毛以外の全身症状はなく肉体的には重篤な疾患とは言えないが, 精神的負担は重く, 患者の悩みは深い. 全国的に展開されている「円形脱毛症患者の会」もあり, 患者相互での情報交換が行われている. 残念なことは, 患者の心理状態が十分に理解されていない現状にあり, 適切な診療と社会の理解が望まれる. 本号ではテーマとして「円形脱毛症の適切な診断とその方法」, 「免疫学的観点からの本症の発症機序およびアトピー素因の関与」, 「本症の新しい病型であるADTAFS」, そして「本症の治療としての局所免疫療法と全身療法の実際と展望」について, エキスパートの先生方に最新の情報を交え執筆していただいている. 診断・治療については, 基本的に日本皮膚科学会より提示された「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2010」に基づいている. 近年, 胚幹細胞(ES), 生体組織幹細胞, 多分化成体前駆細胞を用いた再生医療の研究に注目が集まっている. 毛器官においても毛包のバルジ領域およびその上部に毛包幹細胞が存在することが知られ, 幹細胞は成長期毛誘導における主導的役割を果たすとともに, 神経細胞, 平滑筋細胞, メラノサイトなどへの多分化能を有することも明らかになった. 現在のところ難治性円形脱毛症に対する効果的な治療は乏しいのが現状であるが, 今後, 本症の発症機序ならびに毛周期のメカニズムに立脚した, より効果的な治療が開発されることが期待される.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

