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Orthopractice―私の治療法 RAの頸椎変形

DEBATE 3 手術的治療:Long fusion

松山幸弘

Arthritis―運動器疾患と炎症― Vol.10 No.1, 30-35, 2012

 ムチランス型関節リウマチ(RA)の破壊性頸椎病変に対する治療戦略は,少なくとも座位がとれる段階でhaloベストを装着し,至適頸椎アライメントを獲得するのと同時に,全身状態の改善,自己血採取を行い,手術的加療を行うべきである.後頭骨―胸椎間固定は満足のいく結果が得られたが,モダンな椎弓根スクリューを使用した後期のシリーズでは,意外に隣接椎間,椎体障害が多かった.とくに股関節の可動域制限の厳しい症例は腰椎への影響も大きく,注意深い観察と装具療法の必要性がある.

緒 言

 関節リウマチ(RA)は,四肢関節の病変に加え多彩な頸椎病変を呈することが知られている.とくに環軸椎関節に生じるリウマチ性病変は前方亜脱臼(AAS)から始まり垂直脱臼(VS)へ進行したり,また中下位頸椎にも前方亜脱臼(SAS)や強直などの変化を生じる1).RAの頸椎病変の自然経過もさまざまで,AAS は症例によっては自然に癒合していく場合もある2).またRA病型によっても頸椎病変はさまざまで,その結果,外科的治療方法にも統一した方針は存在しない.しかしOchiら3)の提唱した全身病型分類のうち,最も破壊性頸椎病変の強いムチランス型(MUD)は全例AAS+SAS+VSを呈し,その自然経過,生命予後とも悲観的であると諸家は報告している2)4)5).このような症例に対し,術前のhaloベスト固定を行って全身状態と神経学的改善を待って,後頭骨から胸椎までの固定を行ってきた.後頭骨から胸椎までの固定術が必要となる適応,術前のhalo ベストケアの有効性,術後成績および手術が与えるADL上の問題点,そして隣接椎体,椎間への悪影響も含めて論述する.

1 適 応

 1983年から2002年までのあいだに手術的加療を行ってきたRA頸椎病変の症例89例中,AASが42例,SASが3例,VSが1例,AAS+SAS が5例,頸椎症(CS)が18例であり,後頭骨から胸椎まで固定を行った症例は,すべてAAS+SAS+VSを合併したムチランス型20症例であった.

2 治療の実際と手術成績

 halo装着から手術までの期間,神経症状および痛みの改善度,貧血度および自己血採血量を術前検討項目とし,手術時間,出血量および輸血量,神経症状と痛みの改善度,halo除去までの期間と患者の満足度および合併症を術後の検討項目とした.手術時平均年齢59歳,術後経過観察期間は5年であった.神経症状,pain scoreはRanawat scale6)を使用したが,神経症状のⅢBを座位可能なものをⅢBa,座位不可能なものをⅢBbとして評価した7)(表1,2).

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