「Summary」肺高血圧症(PH)のニース分類ではGroup 2に分類され,平均肺動脈圧(mPAP)≧25mmHg,肺動脈楔入圧(PAWP)>15mmHgで定義される心疾患に伴うPHは,左心系心疾患の予後不良因子となることはよく知られている。頻度は,PHのなかで最も多いとされているにもかかわらず,その一方で病態や治療に関するエビデンスは少ない。さまざまなメカニズムにより肺血管のリモデリングをきたすことで肺動脈圧はさらに上昇するが,治療としての肺血管拡張薬の使用は確立されていない。現時点では,左心系基礎疾患の治療が優先されるべきであり,肺血管に対する選択的治療は今後の課題であるといえる。