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レニン-アンジオテンシン系阻害薬の新しい話題

ARB

ARB

大島弘世茂木正樹檜垣實男堀内正嗣

Angiology Frontier Vol.10 No.1, 24-30, 2011

Summary
 アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)は,降圧治療の第一選択薬として『高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)』でも推奨され大変広く用いられている降圧薬である。本邦では現在6種類のARBを使用することができるようになり,レニン-アンジオテンシン(RA)系の抑制によるさまざまな臓器保護効果というクラスエフェクトだけでなく,薬剤独自の作用,いわゆるドラッグエフェクトに関する報告が主に基礎実験から蓄積されてきた。今のところ薬剤間の差別化につながるような臨床的なエビデンスはまだ少ないが,今後6剤のARB間における独自の作用に着目した臨床試験も期待される。また,現在クラスエフェクトを超えた作用をもつ次世代多機能型ARBの開発・臨床試験が進んでおり,本稿ではこうしたRA系の抑制作用を超えたARBの作用について,文献的報告を交えて紹介する。

Key words
●レニン-アンジオテンシン系 ●次世代多機能型アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬 ●クラスエフェクト ●ドラッグエフェクト

はじめに

 レニン-アンジオテンシン(renin-angiotensin;RA)系は臓器障害に深く関与し,循環血液中だけでなく脳や心臓,血管などの組織レベルでの局所RA系が病態の発症・進展に関与することが明らかになってきた。そのため,RA系の抑制薬であるアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(angiotensinⅡtype 1 receptor blocker;ARB)とアンジオテンシン変換酵素阻害薬(angiotensin converting enzyme inhibitor;ACEI)の臓器保護効果が注目されてきた。両者の作用機序の違いから,最近までクラスエフェクトとしての比較を構図としたARB vs. ACEIの検討が盛んに議論され,ARBの薬剤間の考察は少なかった。しかし,本邦において使用可能なARBが6剤になった昨今,ARBのクラスエフェクトだけではない効果がにわかに脚光を浴びている。臨床的にはARB同士の作用を比較検討した試験は今のところ少ないが,基礎的な視点からはARBの薬剤間でRA系抑制作用を超えた差異がある可能性が次第に明らかになってきている。こうした流れから,現在開発・臨床研究が進んでいる次世代ARBにおいては,アンジオテンシンⅡ(angiotensinⅡ;AngⅡ)1型(AT1)受容体遮断作用のみならず,PPAR(peroxisome proliferator-activated receptor)γ活性化作用をはじめとした付加的な作用を併せもつものが注目されてきている。
 本稿では,ARBのクラスエフェクトを超えた作用について,最近の基礎ならびに臨床的に検討した文献より考察する。

1 現存のARBのクラスエフェクトを超えた差別化

 ARBは,高血圧治療の第一選択薬として『高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)』でも推奨される降圧薬であるが,本邦では現在6種類のARBが使用可能になり,AT1受容体シグナルの抑制によるさまざまな臓器保護効果というクラスエフェクトだけでなく,薬剤独自のもつ+αの作用,いわゆるドラッグエフェクトが主に基礎実験から報告されてきている。今のところ薬剤間の差別化につながるような臨床的なエビデンスはまだ少ないが,今後ARB間における独自の作用に焦点を当てた臨床試験が期待されている。

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