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水と電解質異常

(座談会)新生児と透析患者の低リン血症

秋葉隆楠田聡土田健司北島博之

Nephrology Frontier Vol.10 No.4, 12-18, 2011

 水・電解質異常は理解しづらく,とっつきにくいものとされているが,臨床の場において遭遇する機会も多い.2011年4月にリンの補正に使用可能な「リン酸Na補正液0.5mmol/mL」が新しく発売された.これは従来のものと違い高カリウム血症となるリスクが低い低リン血症の治療を可能とした.
 本座談会では低リン血症に話題を絞ってその病態と治療に加えて新薬が開発されるまでの経緯も含めてエキスパートの先生方に貴重なお話を頂いた.

出席者(発言順,敬称略)
秋葉 隆(司会)
Takashi AKIBA
東京女子医科大学腎臓病総合医療センター
血液浄化療法科 教授

楠田 聡
Satoshi KUSUDA
東京女子医科大学母子総合医療センター 教授

土田 健司
Kenji TSUCHIDA
川島病院 副院長

北島 博之
Hiroyuki KITAJIMA
大阪府立母子保健総合医療センター新生児科 主任部長

Ⅰ はじめに

秋葉─2011年4月に補正用電解質液「リン酸Na補正液0.5mmol/mL」が発売されました.これは低リン血症の患者さんの治療に幅広く使えるものですが,今回の座談会では治験の対象となった透析患者と新生児の低リン血症に話題を絞って話を進めていきたいと思います.エキスパートの先生方にお話しを頂き,多くの先生方に低リン血症に遭遇した際に,素早く対応できるようになって頂きたいと思っております.
 まず透析患者さんのリン代謝について,私から簡単に説明させて頂きます.成人は1日800~1,500mg/dLくらいのリンを経口摂取し,そのほとんどが腎臓から排泄されます.体内では約85%が骨に,約14%が軟部組織に分布し,細胞外液中には約1%が存在していますから,私たちが低リン血症を見る時には,1%の領域での増減を観察していることになるわけで,リン出納を完全に反映しているかどうかなかなか難しい面があります.

 しかし,リンが低下すると,脱力感から意識混濁,昏睡に至るまで様々な神経障害や心筋骨格障害を起こし,それを見逃すと重篤な症状にも発展しますので,臨床の先生方には特に重篤な患者さんを診た時には注意して頂きたい項目です.透析患者さんは週3回の透析では到底リンを除去できず,経口摂取量を制限しなければ過剰になってしまい,一般的には高リン血症を起こします.しかし,経口摂取しない状況が長く続くと低リン血症となって,骨からリンが動員されて低リンを防ぐ機序が働きます.そして,骨や軟部組織のリンが枯渇してしまうと,著明な低リン血症を起こして治療に難渋することがあります.
 リンの経静脈的補給液はこれまでリン酸二カリウム補正液しかなかったため,高カリウム血症を起こしやすい透析患者さんでは非常に苦労し,リンが多く含まれる脂質製剤で補うようなことも行われてきました.ですから,透析患者さんのリン代謝,特に低リン血症の安全な治療の開発は大きな臨床的課題であったわけです1).

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