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多発性囊胞腎における最近の研究と治療の進歩

多発性囊胞腎の降圧療法

望月俊雄

Nephrology Frontier Vol.10, No.2, 24-29, 2011

SUMMARY
 ADPKDにおいては,嚢胞が増大あるいは腎機能の低下が認められる以前から高血圧を認めることが多い.そのため腎機能保護目的だけでなく,心血管合併症予防の観点からも降圧療法は非常に重要である.その発症機序にレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の関与が大きいことから,RAAS阻害薬が第一選択薬として推奨されているが,その使用方法ならびに降圧目標に関しては明らかなエビデンスはなく,現在米国で行われているHALT-PKD研究の結果が注目される.

KEY WORDS
◆ ADPKD ◆ 高血圧 ◆ レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS) ◆ 降圧薬 ◆ HALT-PKD

Ⅰ はじめに

 常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)は最も頻度の高い遺伝性腎疾患である.加齢とともに両腎の嚢胞が増加・増大し,徐々に腎機能が低下する.70歳までに約半数の患者に腎代替療法が必要となる.腎臓以外の合併症が出現する全身性疾患であり,高血圧,肝嚢胞,脳動脈瘤が認められる.なかでも高血圧は,ADPKD患者にとって生命予後を左右する重要な合併症である.透析期のADPKD患者での最も多い死因は心血管病であり,心血管病が死因の患者での剖検では85%に冠動脈疾患を伴うとともに92%以上に高度の心肥大が認められ,その背景には高血圧の存在が大きくかかわっている1)2).脳血管障害での死亡は比較的少ないが,頭蓋内出血あるいはくも膜下出血にも高血圧は大いに関与する3).さらに高血圧は腎腫大の進展に関連し,35歳未満で高血圧を合併したADPKD患者では腎機能障害の重要かつ独立したリスクファクターである4).このようにADPKDにおける高血圧ならびにそのマネジメントは非常に重要であり,本稿ではその成因,特徴,降圧療法などについて概説する.

Ⅱ 高血圧の成因

 ADPKDにおける高血圧の成因は複雑で様々な要因が関連している.

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