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多発性囊胞腎における最近の研究と治療の進歩

(座談会)多発性囊胞腎における最近の研究と治療の進歩

細谷龍男土谷健堀江重郎花岡一成

Nephrology Frontier Vol.10, No.2, 12-18, 2011

 頻度の高い遺伝性の疾患である多発性囊胞腎(ADPKD)は,分子遺伝学,分子細胞学などの研究の進歩によってその病態が大いに解明されてきている.そのような背景のなか,様々な動物モデルが作製されるなどして新しい治療薬による薬物治療の可能性が模索されており,治療の面でも新たな方法が確立されてきている.今回はADPKDに造詣の深い先生方にお集まり頂き,ADPKDについてUp dateなお話しを頂戴した.

出席者(発言順,敬称略)
細谷 龍男(司会) 
Tatsuo HOSOYA
東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科 教授

土谷 健  
Ken TSUCHIYA 
東京女子医科大学第四内科 教授

堀江 重郎  
Shigeo HORIE
帝京大学医学部泌尿器科 教授

花岡 一成  
Kazushige HANAOKA
東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科 講師

Ⅰ ADPKDの診断基準

細谷─ADPKDは,新しい治療薬が創薬されるなど,新たな治療法が確立されてきている疾患です.本日はエキスパートの先生方にお集まり頂きました.
 まず最初に,厚生労働省進行性腎障害班研究によって作成された我が国で用いられている診断基準について,海外との比較も含めて土谷先生にお話しを伺いたいと思います.
土谷─診断基準に15歳以下と年齢が明記されていることが,1つ注目される点です.子供だから1,2個の嚢胞は問題ないという印象をお持ちの先生もいらっしゃいますが, 15歳以下で嚢胞が認められたら,家族内発生が確認されていなくても,ADPKDの確率はかなり高いということを認識して頂くという点でも意義があるのではないかと思います.なお,海外の診断基準には年齢は含まれておらず,嚢胞の個数で診断をしています.
細谷─除外すべき疾患がいくつか羅列されていますが,どのような点に注意したらよろしいでしょうか.
土谷─診断から除外すべき疾患はあまり見られる疾患ではありませんから,典型的な画像があれば診断はできると思います.そのなかで嚢胞性疾患の専門医として,頻度的に気にかけなければいけない疾患の1つが結節性硬化症です1).結節性硬化症は症状が特異的ですから,症状で診断できると思いますが,表現型には非常にバラエティーがあります.例を示しますと,結節性硬化症の家族歴がある28歳女性は,図1に示す程度の嚢胞しかありませんから,画像所見だけでは結節性硬化症を否定してしまいがちです.

しかし,家族歴がありますから,同症と診断できます.一方,42歳男性のように,皮膚症状や脂肪血管腫の合併がある場合は,結節性硬化症を考えなければいけません.
 もう1つは髄質嚢胞性疾患で,最近は遺伝子異常によって,いくつかの病型があることがわかってきています2).例えば,嚢胞腎として治療を受けていた58歳女性は,嚢胞がいくつかあるものの,あまり典型的ではなく,遺伝子変異が認められ,尿酸が高値であり,実際には髄質嚢胞性疾患でした.このようなこともありますので,除外すべき疾患も少し念頭に置いて頂ければよいのではないかと思います.

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