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Cutting Edge

自然リンパ球

齋藤杏子松本健治森田英明

鼻アレルギーフロンティア Vol.19 No.2, 22-24, 2019

鼻副鼻腔におけるアレルギー疾患は,抗原特異的な免疫応答(獲得免疫),すなわち抗原特異的免疫グロブリンE(immunoglobulin E:IgE)抗体および2型ヘルパーT(Th2)細胞を主体に引き起こされると考えられてきた.事実,アレルギー性鼻炎は,花粉やダニなどの特定の抗原を吸入することにより症状が誘発され,抗原の排除や抗アレルギー薬の投与によって症状がある程度軽減される.一方で,実臨床では抗原曝露後一定期間を経ても症状が改善しない症例や,抗アレルギー薬投与中にも急な症状増悪を来す症例もしばしば経験される.また,海外では局所性アレルギー性鼻炎(local allergic rhinitis : LAR)という,血中の特異的IgE抗体が陰性でありながら鼻局所にアレルギー炎症を来す疾患概念も提唱されており,その背景には抗原特異的な機序(獲得免疫)だけでは説明ができない現象が存在するものと考えられる.副鼻腔炎は近年,いわゆる蓄膿症とは明らかに異なる性質をもつ,新しいタイプの慢性副鼻腔炎の症例が急激に増加してきている.この新しいタイプの慢性副鼻腔炎は,鼻茸中に多数の好酸球浸潤を認めることから好酸球性副鼻腔炎と呼ばれ,好酸球浸潤を来す他のアレルギー疾患と類似した病態の関与が示唆されるが,詳細についてはいまだ不明な点が多い.アレルギー性鼻炎とは異なり,特定の抗原の吸入により症状が増悪する疾患ではないため,好酸球性副鼻腔炎の病態には獲得免疫以外の機序,すなわち抗原特異的ではない免疫反応(自然免疫)の関与が示唆される.
気道の慢性炎症性疾患として知られる気管支喘息も,増悪の原因の多くはダニなどの特定の抗原の吸入ではなく,ウイルス感染やストレス,喫煙など,抗原特異的ではない刺激によるものであることが知られている.長年そのメカニズムは不明であったが,本稿で紹介する自然リンパ球の発見とともに,その病態メカニズムの理解が急速に進みつつある.そこで本稿では,鼻副鼻腔疾患における自然免疫の役割について,自然リンパ球の機能を中心に概説する.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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