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Cutting Edge

マスト細胞

岡山吉道

鼻アレルギーフロンティア Vol.18 No.2, 22-25, 2018

ヒトマスト細胞は骨髄の多分化能造血幹細胞(multipotential progenitors:MPPs)に由来する.未熟な細胞のまま末梢血中に入り,気道,腸管,皮膚などの組織で分化増殖する.ヒトマスト細胞前駆細胞はLinCD34highKitint/highFcεRI+細胞と同定されている1).実験環境下ではstem cell factor(SCF)はマスト細胞とその前駆細胞に対し遊走活性を有し接着を誘導,増殖させ,さらに生存延長させ,分化,成熟を誘導する.SCF/Kitを介する下流のシグナル分子のいくつかがマスト細胞の分化増殖に重要である2).Phosphatidylinositol 3–kinase(PI–3K)のp85制御ユニットはマウスマスト細胞においてKitを介する細胞内情報伝達系に必要であり,このユニットの遺伝子欠損マウスでは胃腸管のマスト細胞数が激減する.マスト細胞はguanine nucleotide exchange factor,Ras guanine nucleotide releasing protein 4(RasGRP4)を発現するが,この分子はマスト細胞の顆粒形成やプロスタグランジンD₂(PGD₂)合成酵素の発現に必要である.Basic–helix–loop–helix–leucine–zipper proteinであるmicropthalmia transcription factor(MITF)はマスト細胞とメラノサイトに発現し,マスト細胞特異的プロテアーゼやPGD₂合成酵素の発現に必要である.また転写因子であるGATA–1,PU.1とGATA–2は,マスト細胞の分化のさまざまな局面で作用している.STAT5はマスト細胞の分化増殖,生存に必要である.また最近では,初期のマスト細胞分化,成熟にSCF/Kitを介するシグナルが必須ではないという報告がある3)

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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