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Cutting Edge

好塩基球

三宅健介烏山一

鼻アレルギーフロンティア Vol.18 No.1, 22-23, 2018

好塩基球は,好酸球や好中球と同様に顆粒球の一種に分類され,末梢血白血球中にわずか0.5%ほどしか存在しない極少の細胞集団である.好塩基球はマスト細胞と共通点が多く,高親和性IgE受容体(FcεRI)を細胞表面に発現し,IgEと抗原の刺激により顆粒内容物を放出(脱顆粒)してヒスタミンやロイコトリエンなどのケミカルメディエーターを分泌する.一方,これらの細胞は局在が異なっており,好塩基球が末梢血中を循環するのに対しマスト細胞は組織中に常在している.好塩基球は長い間,「血中循環型のマスト細胞」であると考えられ,最近になるまで好塩基球の固有の機能については詳細に研究されてこなかった.実際,臨床において好塩基球は患者の血液から単離できるため,マスト細胞の代替としてアレルギーの検査に用いられている1)
しかしながら,ここ10年ほどで好塩基球に関する研究ツールが次々に開発され,好塩基球がマスト細胞と異なる固有の機能を持つことが明らかになってきた2).とくに,アレルギー炎症においてはマスト細胞が即時型のアレルギー炎症に関わる一方,好塩基球は血中から組織へと浸潤して遅延発症型のアレルギー炎症に関与することが報告されている.さらに好塩基球はアレルギーを引き起こすだけでなく,寄生虫感染時には生体防御に働き,蠕虫(ゼンチュウ)やマダニの2度目の感染時において重要な役割を果たす.本稿では好塩基球のアレルギー炎症,とくにアレルギー性鼻炎における役割に焦点を当てて概説する.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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