要約  統合失調症様症状をはじめとする精神症状を呈する膠原病および膠原病類縁疾患のうち,特に全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus ; SLE)について概説した。SLEによる神経精神障害(neuropsychiatric SLE;NPSLE)はSLEの約半数に出現し,QOLの低下,他の臓器障害の増加,予後不良と関連している。NPSLEの発症には多因子的なメカニズムが想定されており,微細な血管障害(vasculopathy),神経細胞に対するさまざまな自己抗体の産生,サイトカインの産生などが関与していると考えられている。近年,中枢神経内への自己抗体の侵入を促進する血液脳関門(blood-brain barrier;BBB)のユニークな役割が注目されている。