幹細胞研究の発展により,ヒトのiPS細胞(induced pluripotent stem cells)やES細胞(embryonic stem cells)を用いてオルガノイド(Organoid)と呼ばれる生体組織と類似した三次元組織を人為的に形成する技術が確立されてきた。オルガノイドの多くは,器官形成に寄与する前駆細胞を起点として,生体の発生過程と同様に自己凝集反応(self-condensation)や自己組織化(self-organization)を経て創出される。オルガノイドは生体と類似した構造や機能を持つことから,様々な応用が期待されている。
本稿では,発生生物学に端を発したオルガノイド研究の変遷を紹介しながら,オルガノイドの形成機構について紹介する。また,発展が著しい脳・腸・肝オルガノイド等について最近の研究動向や医療応用の可能性を紹介する。本稿がオルガノイド研究の将来像を考えるための一助となることを期待する。
「KEY WORDS」オルガノイド,iPS細胞,微小環境,自己組織化
本稿では,発生生物学に端を発したオルガノイド研究の変遷を紹介しながら,オルガノイドの形成機構について紹介する。また,発展が著しい脳・腸・肝オルガノイド等について最近の研究動向や医療応用の可能性を紹介する。本稿がオルガノイド研究の将来像を考えるための一助となることを期待する。
「KEY WORDS」オルガノイド,iPS細胞,微小環境,自己組織化